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[PTA]第63回滋賀県人権教育研究大会参加報告

2020/1/29

第63回滋賀県人権研究大会・栗東大会が栗東芸術文化会館さきらで開催されました。10月19日(土)は記念講演を中心とした全体会、翌20日(日)は分科会が開催されました。本年は栗東市が開催地で、『差別を「しない」から 差別を「なくす」確実な一歩を』が現地テーマでした。

1日目の午前は、部落解放同盟滋賀県連合会青年部の井之口氏の発表「伝えたい思い~等身大の私ができる部落解放運動」でした。この運動に参加するきっかけは、中学生のとき、地域の『ふれあい解放文化祭』において、人権劇に出演したことだそうです。その時、近くの大人に「自分の出自を隠して、『差別をなくそう』と訴えても本当に伝わるのか」と問われたことによって、悩みながらも、自身が被差別部落地域出身者である「立場宣言」をした、という体験談でした。「人は場所を選んで生まれてこれないのだから、そのことで差別されるのはおかしい。何が正しくて何が間違っているかを伝えたい」と語られました。

井之口氏の恩師である栗東西中学校の先生からは、前述の人権劇を創り上げる様子が語られました。差別に苦しむ生徒を前に「どうしてこの子たちがこんなに苦しまないといけないのか。これは大人の責任だ」と感じることから「教師としてではなく、人としてこの活動に参加している」と話されました。

午後からの記念講演は、崇仁発信実行委員会代表の藤尾まさよ氏の発表「このまちが好きだから~被差別の歴史をもつまちに生まれて~」でした。被差別地域に誕生されるも、地域の人に愛されてのびのび育たれた藤尾氏ですが、就職以降は様々な差別に遭われます。お子様の中学校のPTA会長になったとき、生徒が「僕らはどんなに頑張ってもあかんねん。社会が認めてくれへん」と嘆く姿を見て、地域ぐるみで人権学習に取り組むことを決意されました。

現在は、京都市立芸術大学がその地区に移転・開校にするにあたり、「大学と地域がともに心地よく暮らせるまちづくり」を地域住民、大学、大学生と進めておられます。「その人の背景を知ろうとせずにいることは、時として人に残酷なことをしてしまう」という言葉に、身が引き締まる思いがしました。

2日目は、特別分科会「【人権についての創造的な学びを求めて】~多文化共生の保育・教育とまちづくり~」を拝聴しました。

1人目は、15歳で来日された日系ブラジル人三世の小野和信氏の発表でした。来日当初は諦めていた就学ですが、一念発起し、大津清陵高校に入学され、そこで「あなたの夢は何?」と先生に聞かれたことをきっかけに、進学の方法を模索し、学費の半額を貯め、京都外国語大学に入学されました。そして現在は、同大学の大学院に在籍されています。「外国人生徒の親は、子どもの夢を叶えるための方法、かかる金額を知らない場合が多い。親に情報を与えることが大事」と語られました。

2人目のSHIPS多文化共生支援センターの喜久川修氏、3人目の長浜市民国際交流協会事務局長の辻川作男氏は、外国人労働者の就労状況を話されました。

2014年の入国管理法の改正によって、外国人が日本で就労しやすくなり、滋賀県でも外国人労働者が増加している市もあります。ですが、就職先がブラック企業であっても転職できない、「特定技能」は日本人の嫌がる3Kの仕事や、祖国に技術を持ち帰れない単純労働が多いなど、外国人の労働条件は決してよくはありません。「日本人だけが得する制度でよいわけがない」と、外国人労働者の人権擁護の視点で語られました。

午後からは、大阪大学特任教授榎井縁先生の講演「多文化共生の保育・教育とまちづくりを考える」でした。急激な少子高齢化が進む日本において、人手不足のため、外国人労働者を受け入れざるを得ない中、日本語ができない生徒の教育が不十分になりがちです。日本語指導の必要な外国人の高校生は、中途退学したり、就職が決まっても非正規雇用になる比率が高いというデータもあります。最近ようやく、日本での外国人労働者の子どもの教育状況が、社会的に着目されだし、国の機関でも審議されるようになったそうです。

2日間に及ぶこの大会は学びの多いものでした。

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