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[PTA]芸術鑑賞

2022/11/1

 9月15日膳所高校体育館にて、落語家の柳家三三(さんざ)さん、三遊亭わん丈(わんじょう)さんの3席の演目を生徒と教員が鑑賞しました。
 芸術鑑賞会は、年替わりで音楽・演劇・古典芸能3セットを鑑賞する行事として計画されています。ところが、コロナ禍で延期となり、3年生にとっては3年越し、最初で最後の鑑賞会となりました。体育館に入ると高座や金屏風、書道班が書いためくり台などが設置され、寄席に様変わりしていました。
 開演です。神妙な面持ちで見守る生徒を前に、柳家三三さんによる3分程度の短い噺が始まりました。 1席目は『みそまめ』といって店の主人と定吉という小僧が、お互いこっそり隠れてみそまめをつまみ食いするという、どこか聞き馴染みのある噺でした。声色や表情、食べる仕草などとてもユニークで最後のオチで会場全体がどっと沸きました。
 次に、落語初心者が気軽に落語の世界に入っていけるようにと、三三さんが分かり易く落語のいろはを教えて下さいました。「落語とは、扇子と手拭いを持った一人の噺家が、老若男女を演じ分け、様々な場面を紡ぎ出し、聞く人の想像力を駆り立てる芸能です」と言うと顔の向きを変えて話す「上下(かみしも)」や、落語の小道具である扇子や手拭いを使って実演して下さいました。一つ一つの所作や目の動き、間の取り方で登場人物を切り替えたり、扇子や手拭いが本や手紙、箸や筆や刀に見立てられる様子は圧巻でした。
 2席目は三遊亭わん丈さんの『近江八景』という演目です。落語は「マクラ」と呼ばれる世間話や小噺、本題、オチで構成されています。 わん丈さんは滋賀県出身(江戸落語家唯一)ということで地元に馴染みが深く、やんちゃだった高校時代の話や恩師と膳所高校で思いがけなく再会を果たした話などを軽妙な語り口で語って下さり、生徒たちを巻き込み、掛け合い、会場は笑いの渦で包まれました。皆の気持ちがほぐれてきたところでいよいよ噺の本題です。江戸落語では、『近江八景』は関東の人にとって滋賀県の風景が想像し難いという理由から、あまり披露されないそうです。この演目には三井寺の晩鐘、石山の秋月など膳所城から見た四季折々の絶景が美しい言葉遊びで見事に詠み込まれています。この演目をあえて選んだわん丈さんの地元愛溢れる語り口に惹き込まれました。
 3席目は柳家三三さんの『てんしき』という、知らないことをプライドが邪魔をして聞けず、どんどんと深みにはまって最後に収拾がつかなくなるという、人間の本質を突いた落語の醍醐味が味わえる演目です。1席目よりも登場人物が増え長い噺ですが、スピード感のある会話の応酬に、生徒たちも前のめりで聴き入っていました。
 鑑賞後、生徒の代表者がお勧めの演目を聞くと、わん丈さんは落語家になるきっかけとなった『井戸の茶碗』を、三三さんは、『寿限無(じゅげむ)』を紹介して下さいました。「同じ演目でも若い頃に聴いた時と、年齢を重ねて聴いた時とでは、趣が異なる」と落語の魅力を教えて下さいました。 最後に「画面越しで何でも知ることができる時代。コロナ禍で制約はありますが、落語だけでなく、生で体験することを大切にしてほしい」と温かい言葉を贈って下さいました。

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