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[PTA]滋賀県人権教育研究大会参加報告

2017/10/28

滋賀県人権教育研究大会(野洲大会)参加報告

10月最後の週末、第61回滋賀県人権教育研究大会が野洲市にて開催されました。「差別の現実から深く学び、生活を高め、未来を保障する教育を確立しよう」を主題に、28日(土)は野洲文化ホールにて全体会が、29日(日)には野洲市内の小中学校等複数の施設で分科会が行われ、膳所高PTAとして全体会に参加させていただきました。
本大会の実行委員長である西村健氏の開会宣言を皮切りに、大会主催者の方々のご挨拶があり、続く基調報告においては、人権教育研究会の杉江範昭氏が、昨年12月に可決・成立された「部落差別の解消の推進に関する法律」に言及され、いまだ現存する部落差別と向き合い、それを温存する社会意識や社会のしくみに目を向け変革することが、自分も含めたすべての人の幸せにつながることを確認したいと述べられました。そして、「一人も排除しない」「一人も差別しない」共生社会の実現に向けての取り組みを前進させましょうと呼びかけられました。
午前の部の内容のうち「現地からのメッセージ」では、和太鼓の演奏と野洲市の取組みの発表がありました。
野洲第三保育園の可愛らしい園児達の和太鼓の演技では会場に笑顔の花が咲き、保護者、保育士の方々の力強い演技では互いの結束の固さを窺い知ることができ、人とのつながりがそれぞれの豊かな人生の為にいかに大切かということを改めて感じることができました。
野洲市の発表では、野洲市市民生活相談課の生水裕美氏が、野洲市のキャラクター「ドウタクくん」を生活困窮者に見立て、貧困対策の具体的な取組みについて報告してくださいました。野洲市では生活困窮者の緊急支援の際、弱みともいえる行政の「縦割り」の部分を徹底的になくすよう努めておられるそうです。滞納した税金や上下水道代、住宅費用、給食費、その他の債務・・・生活困窮者の抱える問題は山積みです。これに対し、市民生活課のみならず様々な課の担当者がノウハウを持ち寄りその知恵を結集するからこそ、困っている市民の根本的な生活再建のサポートを行うことが可能になっていると、力強く報告されていました。
また、学習支援事業としては、生活困窮世帯で十分な学習環境が整わない子供達(現在は29名)のサポートを実施されており、多くの学習ボランティアの参加によりほぼマンツーマンでの学習指導が可能になっているとのことでした。さらには、学習支援の合間に提供されるおにぎりやおやつも、その材料や準備を寄付やボランティアで賄うなど、地域の子供達を思う市と地域の方々の熱意が功を奏し、子供達が家族や親戚の中で過ごすようにのびのびと学習、生活できる温かい環境が整っていることに感銘を受けました。
午後からの記念講演では、NPOスチューデント・サポート・フェイス代表理事の谷口仁史氏が「どんな境遇にある子ども・若者も見捨てない!」と題して、社会的に孤立した若者を支援するご自身の活動についてお話をしてくださいました。
NHKの人気番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」でもその熱意ある活動が取り上げられた谷口氏ですが、その支援の手法がとてもユニークです。谷口氏は「アウトリーチ」という訪問支援の形で問題を抱える若者の元に向かいます。アウトリーチの手法をとることで、当事者の問題だけでなく、当事者を孤立させる原因ともなった、その家族の抱える深刻な問題にさえも気づき、ケアすることができます。そうして、孤立の芽を取り除き、世帯ごと根本から健全な家庭に導くことが可能になるそうです。また、谷口氏の活動においては様々な専門家が協力しあいチームで取り組むという点が、野洲市の好事例とも共通しており、これが多くの実績につながる一因ともなっているように思います。谷口氏自身、大切な親友が自ら命を絶つという辛い過去を経験されており、その悔しい思いが、最後まで見捨てない執念の支援につながっているのだと感じました。この講演を通じて、やはり人を救うことができるのは人を思う人の力なのだということを実感いたしました。
全体会の閉会行事では、2018年度は第70回全国人権・同和教育研究大会が半世紀ぶりに滋賀県で開催されるとの報告があり、ますます県内の人権活動が活発になることを祈念し閉会となりました。普段ゆっくり向き合うことがない人権問題でしたが、今なお生きにくい世の中を感じておられる方も多いことを知る機会ともなり、また私たちの日常の言動ひとつが、良くも悪くも相手に大きな影響を与えることがあると考えさせられる貴重な一日となりました。

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