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美術授業『茶道』~お茶会をひらきました~

2023/3/15

 美術Ⅰ(1年生)と美術Ⅱ(2年生)では、校外と連携し『茶道』をテーマとした授業を2005年から行っています。美術Ⅰでは入門編として茶道の歴史や思想を学び、陶芸家の指導で乳白色の茶碗を制作します。完成した器に生徒同士で互いに「銘」を付けあいます。生徒が考えたデザインからお茶会用の主菓子(おもがし)を用意し、生徒が自作茶碗を用いて抹茶をいただくお茶会を開きます。美術Ⅱでは発展編として「千利休」をテーマに様々な活動を行い、黒楽茶碗を作ります。
 
   「シーンとした中で聞こえるお湯の沸く音の美しさを知った」…2月末、1年を通した『茶道』の授業のまとめとして、1年生と2年生の授業でそれぞれ、お茶会を開きました。茶道家による『濃茶』のお点前や亭主と客の問答を拝見し、点てだしで自作の茶碗でお茶(薄茶)を頂きました。              
   昨年はコロナ禍のため、セミナーハウスの広い教室で自らお茶を点てて頂くという形で行いました。昨年から生徒デザインのお菓子はお茶会で披露し、個別パックに入れて各自持ち帰る形としています。お茶会では、薄茶を『洲濱』(すはま)というお菓子とともに頂きますが、きなこの素朴な味が生徒に大変好評です。
  今年は、感染対策を施したうえで、従来のように本校の和室で実施しました。
  京菓子司末富の山口富蔵さんには、戦時中に膳所に疎開されていたというご縁もあり、2014年からこの授業に協力頂いています。これまでに、生徒が考えたデザインから作って頂いたお茶会用のお菓子(主菓子)は80種を越えました。本校での講演やお菓子制作体験の指導のほか、お茶会にも何度も参加下さいました。
 
 ほんの1コマ、学校の50分授業の「お茶会」ですが、すべてが「ほんもの」です。
 『薄暗い茶室では茶碗が消えて、その温かさだけが手に伝わる…』と言われた茶道家さんの言葉も、五感を通して伝わったでしょうか。
 ひとり一人の中に蒔かれた何かは、いつかどこかで芽生えるかもしれません。

 一連の授業にご協力くだり、貴重な機会を頂きました多くの方々に、心よりお礼申し上げます。

 【「茶道」授業へのご協力(敬称略、授業回順)】
MIHO MUSEUM、滋賀県立陶芸の森、京菓子司末富、すはまや、武者小路千家官休庵、滋賀次世代文化芸術センター

【お茶会の感想】
・時の流れが止まっているかのようなお茶を点てる音だけが響く空間は、緊張するけど居心地がよかったです。亭主の和服が格好良かったです。
・初めて濃茶の正式な点て方を見て、ひとつひとつの動作が洗練されていて、ずっと見ていられると思いました。
・印象に残ったのは、茶筅を回しながら見るのは、茶筅の損傷がないか確認するということです。1つ1つの丁寧な動きから、日本のおもてなしの心を感じました。
・お互いを思いやる心がお茶会ににじみ出ていて素敵だなと感じた。
・自然光のみで行われるお茶会は、うっすら見える感じが日本らしく、とても風情を感じた。
・静けさの中でも、言葉の問答がありコミュニケーションを楽しんでいるところが良いなと思いました。緊張感と穏やかさの入り交じった緊張感が独特で楽しかったです。
・同じ時間でも教室で授業を受けているのと全く違うものに感じました。
・人の所作に見入ったり、それによって自分の所作を正したりする、自分と世界を振り返って見る時間となり、密度の濃い時間となったと思う。普通に生きていても、この時間を過ごすことがないことを寂しく思った。
・普段、一つ一つの音に集中することがなかった。シーンとした中で聞こえるお湯の沸く音の美しさを知った。
・チャイムで時間が区切られている学校生活の中で、お茶室の中だけが別の空間ができて、時間の流れを気にせずにただただお茶とお菓子を楽しめて、幸せを感じた。終わるときのチャイムがすごく邪魔だと感じた。
・「美しい」とは、景色を見た時に感じることが多い様な気がするが、あのお茶を点てる所作、本当に‘美’そのものだった。後世へ継いでいくべきものだと思った。
・亭主と客の問答に驚いた。茶道は堅苦しいものではないということと同時に、一方でセンスや風流心が求められるものだと学んだ。
・お菓子がめっちゃおいしくて、お抹茶がちょうどの濃さで幸せな気持ちになった。家に持ち帰ったお菓子と一緒に自分で点てた抹茶を飲むといつもより抹茶が美味しく感じた。今すごく忙しい時期なので、こうやってほっこりする時間を授業内でとれてよかった。心が落ち着くので日本文化は素晴らしい!
・お茶会を開くためには、お菓子や器、茶室など多くの準備が必要だったし、今回のお茶会にもたくさんの方が関わってくださった。相手を思って時間を共に過すお茶会の面白さを知れて、感動した。
・一期一会、一度しかない機会を大切にする気持ちが表われていると思いました。

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