滋賀県立膳所高等学校

2015年10月10日

[PTA]芸術鑑賞観覧報告

古典芸能能楽鑑賞会

9月14日びわこホールにて芸術鑑賞会が行われました。

2015_geijyutu01今年度は、高校生のための古典芸能『能楽鑑賞会』で、観世流の能楽師 山中雅志さん他が出演され、生徒、先生、同窓生そして私達保護者(約110名)が観劇してきました。

2015_geijyutu02導入では、能の発祥が楽しむ為のものではなく、寺や神社で神に向け、芸を奉納した事から始まり、観阿弥、世阿弥が完成させ、第1回ユネスコ無形文化遺産にも登録されたという紹介がありました。そして、世界的にも優れた芸術として認められている能が、歴史的な挿話を題材にしていることや、三間(5.4m)四方の正方形の能舞台、簡素化された変わらない背景などの説明がありました。とりわけ、演者のつける能面が、上下左右、向く方向により顔の表情が変化して見えるという話は興味深いものでした。

次に、ひな人形の五人囃子として私達にも親しみのある邦楽器の紹介でした。

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それは、謡いをはじめ、唯一のメロディを作る笛、乾燥や湿度に非常に敏感で神経を使う小鼓と大鼓、そしてまわりを断然リードしてくれる太鼓です。生徒達が実際に触れ、演奏を体験し、生の感想を聞くことで、邦楽器に対する親近感がだんだんと湧いてきました。生徒達の練習の間、私達観客は、謡いにも挑戦しました。独特の言い回し、トーンやリズムに難しさを感じ、能楽師の会場の隅々まで響き渡る張りのある声は素晴らしいと改めて感じました。

そして、いよいよ狂言『柿山伏』の始まりです。

これは、修行を終えた山伏が、帰国の途中、木に登って柿を盗み食いしているところ、持ち主に見つかってしまい、さんざんからかわれ、鳶のまねをして、木から飛び降り、腰をしたたかに打つお話です。烏や猿などの物まねをさせられる場面での二人のテンポのよいやりとりがとても面白く、会場の笑いを誘いました。

続いて、能『船弁慶』のワンシーンの上演です。

源義経が平家を滅ぼした後、兄、頼朝の怒りを被り、家臣の弁慶らと船で西国へ落ちのびる途中の話です。航海中、突然、暗雲が立ちこめ嵐となり、壇ノ浦の合戦で滅亡した平知盛の亡霊が現れますが、義経は太刀、弁慶は数珠を使い、法力で戦った末に知盛は浪間に消えていくというストーリーです。見どころの知盛の勇ましいダイナミックな舞いにとても迫力を感じました。そして、謡や楽器の音色も加わり、さらに舞台が華やかさを増し、盛り上がりました。

初めて能を観劇する人も多かったことと思いますが、今回は、分かり易い解説付きのプログラム構成となっており、より理解を深めることができました。

能の世界は、物語の背景は無く、観る人一人ひとりの想像力に働きかけるといいます。

いつの時代にも変わることのない人間の本質、情念、空白の間の中に、目には見えない人の心の揺れ動きが描かれているということが印象的でした。現代の日常生活においては、便利な物が満ち溢れ、時間を追究する、或いはされる場面が多いと感じます。華やかなミュージカルや演劇も良いですが、このような日本人の持つ鋭い感受性をずっと大切にしてきた能の世界を味わうことができ、本当に有意義なひとときとなりました。これから先、様々な人生経験を積み、大きく成長していく生徒達にとってもよい心の糧になったことと思います。