2025/11/4
7月14日月曜日、「NHK杯全国高校放送コンテスト(以下、Nコン)」の全国大会を目前に控えた放送班を訪ねました。コンピューターがずらりと並ぶCAI教室では、動画作成や編集作業を熱心に行う姿や、番組制作に向け活発に話し合う様子が見られ、笑顔と活気に満ちていました。
放送班の主な活動は、大きく分けて「マイクを使った活動」と「取材活動」です。マイクを使った活動は、昼休みの生放送や体育祭の実況中継、大会での朗読や自作の原稿を読み上げるアナウンス活動など多岐にわたります。放送室のマイク前には、「にこ(^_^)笑う!!明るく!!」「笑声(えごえ)(^▽^)!」の張り紙が。彼らの声が、学校生活に明るさと情報をもたらしていることがうかがえます。
今回のNコン県大会では、班長率いるラジオドキュメント部門が優勝に輝きました。班長は「これまで失格や最下位も経験しましたが、その経験が最後の大会で生きました。後輩たちには、先輩方から受け継がれてきたものを生かし、自分たちを超えていってほしい」と温かい期待をにじませました。その期待に応えるかのように、後輩たちも素晴らしい成績を収めています。今年は審査のある6部門全てで優勝か準優勝という例年以上の好成績で県大会を突破。校内研究発表部門と合わせて、計7部門、総勢11名が全国大会に臨みます。
県大会で優勝したラジオ番組について詳しく聞きました。この番組は、目の見えない方が美術作品を鑑賞する際、視覚に頼らずどのように感じているのかを取材したドキュメンタリーです。取材を通して班長は「視覚に頼って忘れていた感覚」に気づかされたと言います。「見えないからこそ、想像力が掻(か)き立てられる。ラジオ番組も音だけで伝えるもの。みんなに想像して、考えてもらう番組を作りたい」「取材をした人の言葉をそのまま放送しただけでは、『伝えた』ことにはならない。その人の言葉の奥に込められた思いや気持ちに気づき、番組にその想いを込めることを心がけています」と教えてくれました。
彼らの伝えることへの情熱は、社会に対する深い洞察にも繋がっています。班長は、「外国人に対する報道を見ると、日本人が問題だと感じる行動に至った理由があまり考えられていないのがつらい。いろんな価値観を理解し、みんなの最適解を考えるきっかけを番組で発信していけたら」と語り、副班長は、「何かに反対することで自分の正しさを主張していると感じることがある。二者択一ではなく、その間の深いところの正解を探っていきたい」とそれぞれの視点で話してくれました。
多様な情報が溢れる現代において、情報を受け取った人に「しっかり考えてもらえるような番組を作りたい」という班長・副班長の強い思いと、「言葉の裏にある気持ちや人の温かさまでを伝えたい」という彼らの真摯な姿勢に、感動を覚えた取材となりました。放送班の思いが多くの人の心に伝わり、社会をより豊かにするきっかけとなることを心から願っています。