滋賀県立膳所高等学校

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2020年03月06日

第68回卒業証書授与式が挙行されました

 

式  辞

 

霊峰比良比叡の山並みにも春の息吹が感じられる今日の佳き日、本日ここに、滋賀県立膳所高等学校第68回の卒業証書授与式を挙行できますことは、本校の最も慶びとするところでございます。

 

今回の卒業証書授与式では、全国的に新型コロナウイルス感染症の感染拡大が懸念されておりますことから、出席していただく方を出来るだけ限定するということで、ご来賓のご出席を仰がず、保護者の皆様方にもご無理をお願いし、また、在校生も出席しない中で開催させていただきましたことをお詫びいたします。ただ、卒業生とかかわりの深かった旧職員の先生方にはご出席いただいております。ご多用のところご臨席をいただき、厚く御礼申し上げます。

 

また、保護者の皆様方、お子様の栄えあるご卒業、誠におめでとうございます。この3年間、何かとご苦労がおありだったことと思いますが、今日の佳き日を迎えられ、感慨もひとしおかとお察しいたします。この間、本校に多大のご支援、ご協力を賜りましたことに、厚く御礼申し上げます。

 

さて、ただいま卒業証書を手にした、普通科388名、理数科40名、合わせて428名の皆さん、卒業おめでとうございます。

皆さんは、輝かしい歴史と伝統のあるこの膳所高等学校の第68回の卒業生となられました。これまでの3年間、日々の授業や探究、課題研究、班活動や湖風祭など、様々なことに全力で取り組み、今、皆さんの心は充実感と達成感で満ち溢れているのではないかと思います。これまで支えていただいた方に感謝するとともに、膳所高校の卒業生として、自信と誇りを持ち一層の精進を積み重ねてもらいたいと思います。

 

このような皆さんに、今日は卒業にあたって、私から餞の言葉を送りたいと思います。それは、「未来を過去の如くに考え、自信をもって前に進んでほしい。」ということです。この「未来を過去の如くに」という言葉は、湯川秀樹の言葉です。湯川秀樹は、「中間子論」の提唱で、1949年に日本人で初めてノーベル賞を受賞しました。湯川秀樹のノーベル賞受賞は、当時、第2次世界大戦が終わり、日本国民が自信を失っていた時期に、希望と勇気を与えたと言われています。

「中間子」という言葉は、質量が電子と陽子の中間であるという意味です。皆さんご存知のように、当時物質は、細かく分けていくと原子という粒になると考えられていました。そして、原子は、中心に原子核がありその周りを電子がまわっているという構造になっています。その原子核は、陽子と中性子で構成されていますが、この陽子と中性子を結びつけている力については、わかっていませんでした。そこで、湯川秀樹は研究を重ね、陽子と中性子の間で中間子というものをキャッチボールのようにやりとりすることによって力が働くと考えたのです。このような物理学の分野を量子力学と言いますが、当時、まだ日本ではこのような新しい分野を教える人がいなかったため、独力で勉強されたということです。まさに、新しい学問分野を切り拓いた人と言えると思います。

この湯川秀樹が、「中間子論」を提唱した時も、最初は理解してもらえず。大変落胆し失望したようです。このような研究生活の苦労の中から見つけた教訓が、先ほどお話しした「未来を過去の如く考える」ということでした。この言葉の意味は、「研究を進める際には、未来のことを過去の如く考えることが大変重要である」ということです。言い換えると、新しい分野や新しい理論の研究の際には、それが正しいかどうか自信が持てない時がありますが、「それをすでに確立したことすなわち過去のこととして考えて前に進むと、更なる未来が見えてくるはずだ」ということです。

 

わたしは、この言葉は単に研究だけでなく、日々の生活においても参考になるものだと思います。皆さんは、将来、21世紀社会を担う中心、中核の世代となります。そこでは、これまでの考え方や慣習にとらわれない、新たな視点や新たな考え方をもとに、勇気をもってチャレンジすることが大切となります。しかし、前例のないこと未知の分野への挑戦は、果たしてこれでよいのか、と不安に駆られる時もあると思います。そんな時、先ほどの湯川秀樹の言葉を思い出してください。「未来を過去の如くに」考え、もうそれは確立されたものと考え前に進むと、新たな発見が見えてくると思います。そうした心がけの中から、希望に満ちた新たな社会を構築してくれることを期待します。

 

それでは、卒業生の皆さん、時代を超えて先輩から後輩へと受け継がれてきた本校の精神、校訓である「遵義・力行」を深く胸に刻み込み、健康に充分留意し、社会のリーダーとして活躍されることを期待します。皆さんが、自分らしく、そして膳所高校の卒業生らしく、自分の強みを活かして活躍されることを期待し、式辞といたします。

令和2年3月1日

          滋賀県立膳所高等学校

         校長  小島 秀樹