滋賀県立膳所高等学校

2019年03月13日

第67回卒業証書授与式が開催されました

 

 

平成30年度 第67回卒業証書授与式 式辞

式  辞

湖面を渡る風も暖かさを増し、窓に差し込む柔らかな日の光に春の訪れを感じさせる今日の佳き日、本日ここに、滋賀県立膳所高等学校第67回の卒業式を挙行できますことは、本校の最も慶びとするところでございます。

御来賓の皆様方には、公私ともにご多用の中ご臨席をいただき、卒業生の門出に華を添えていただきましたことに、高いところからではございますが厚く御礼申し上げます。

また保護者の皆様方、本日お子様が卒業の佳き日を迎えられましたこと、誠におめでとうございます。この三年間、ご家庭におかれましても何かとご苦労がおありだったことと思いますが、今日のお子様の晴れの姿をご覧になられて、感慨もひとしおかとお察しいたします。改めまして心よりお祝い申し上げますとともに、この間、本校の教育活動に多大のご支援、ご協力を賜りましたことに対しまして、高いところからではございますが厚く御礼申し上げます。

さて、ただいま卒業証書を手にした、普通科394名、理数科39名、合わせて433名の皆さん、卒業おめでとうございます。
皆さんは、輝かしい歴史と伝統のあるこの膳所高等学校の第67回の卒業生となられました。これまでの3年間、皆さんは高度な授業で様々な知識や技能を身に着け、探究や課題研究、SSHの取り組みなどで主体的な学びの姿勢を育んできました。これは、皆さん一人ひとりの精進努力の賜物に違いありませんが、同時に、昼夜を問わず温かい愛情を持って励まし、支え、見守ってくださったご家族の方々や先生方、そして友達さらには同窓会をはじめ多くの方々のご援助のおかげでもあります。どうか、このことを胸に刻み、感謝の気持ちを忘れることなく、膳所高校の卒業生として、自信と誇りを持ち一層の精進を積み重ねてもらいたいと思います。

思い返しますと3年前、平成28年4月8日、皆さんは膳所高等学校の門をくぐりました。素晴らしい校舎と真新しい制服、希望に胸を膨らませのぞんだ入学式。皆さん、とても緊張していたと思います。2年生の時には、修学旅行の行き先が急きょ変更になりましたが、思い出に残る素晴らしい修学旅行に作り上げてくれました。また、3年生進級を目前にした昨年の春休み、野球班の第90回記念選抜高等学校野球大会への出場では、全校生徒を一つにまとめた応援で、白地に紫の人文字を描き出し、甲子園にZの花を咲かせてくれました。このことは、データ野球で新しい高校野球の一つの姿を示した野球班の活躍とともに、応援団優秀賞をいただき、全国の皆さん方の脳裏に深く刻まれることとなりました。歴史上最も暑い夏に行われた昨年の湖風祭、皆さんは、各部門のリーダーとして平成最後の湖風祭を見事に成功させてくれました。そして昨年秋、創立120周年の記念式典、記念行事においては、最高学年として大きな役割を果たし、生徒主体の生徒のための記念行事というコンセプトを実現してくれました。まさに皆さんは、120年の学校の歴史に大きな足跡を残してくれました。

このような皆さんに、今日は卒業にあたって、私から期待することを3つお話したいと思います。

まず一つ目は、「高い志を持ち、その達成に向けてあきらめることなく粘り強く生きてほしい」ということです。皆さん、山登りをする時のことを考えてください。頂上まで登ろうという気持ちで登り始めても、結局五合目や七合目で引き返すことになるかもしれません。しかし、始めから五合目や七合目を目標にして登ろうと思っている人が頂上まで登るのは難しいと思います。ですから、出来るだけ高い志を掲げてその達成に向けて努力することが自分という人間を生かす、自分という人間をより高みに導くことになると思います。そのとき大切なことは、最後まで諦めないということです。パナソニックの創業者である松下幸之助氏は、次のように言っています。「失敗の多くは、成功するまでにあきらめてしまうところに原因があるように思われる。最後の最後まであきらめてはいけないのである。」現在は、変化が激しく進歩のスピードがあまりにも早い時代ですから、状況に応じて目標を次々に変更して柔軟に取り組むことが求められる場合があるように思いますが、私は、やはり自分の立てた志を達成するまで、粘り強く努力し続けることを大切にしたいと思います。

次に二つ目は、「偶然の出来事を大切にしてチャンスに変えてほしい」ということです。皆さんは、平成12年4月から、平成13年3月に生まれたわけですが、西暦では、2000年から2001年ということになります。まさに、20世紀から21世紀になる時代に生まれ、これまで生きてきました。この間、たくさんの偶然の出来事があったことと思います。一番大きなものは、人との出会いです。たとえば、本校に入学してから、膳所高校の先生方や友達との出会いがありました。また、班活動の仲間や練習試合、公式戦で戦ったライバル、SSHの取り組みで出会った京都大学や滋賀医科大学の先生方など、たくさんの出会いがありました。そして、本校を卒業すれば、もっと広い範囲の様々な人との出会いがあります。皆さんは、20世紀に生きた人と違って人生100年時代を生きることになります。これからは、100歳を超えて生きる人がたくさん出てきます。ですから、出会う人も出会う場所も、これまでよりはるかに増えることになります。これから出会う人、これから出会う場所、それらを大切にしてそれを自分自身のチャンスに変えてください。出会いという偶然の出来事をチャンスに変えて、皆さんの人生を素敵なものにしてほしいと思います。

最後に三つ目は、「これまでに積み上げてきた知識を自己の倫理観と融合させた知恵として活用し、21世紀社会の発展と人類の幸福に貢献できる人になってほしい」ということです。18世紀の産業革命以降、人類は科学技術の進歩により社会を大きく発展させてきました。20世紀になると、高度情報化社会の進展の中で、コンピュータテクノロジーが著しい発展を遂げ、情報ネットワーク社会が構築されてきました。そして今日の21世紀社会は、このようなテクノロジーが指数関数的速度で発達していくと言われています。アメリカの発明家で人工知能の世界的権威であるレイ・カーツワイルは、その著『ポスト・ヒューマン誕生』の中で、収穫加速の法則という考え方に基づき、生物とテクノロジーの進化の歴史を六つのエポックに分け、その五つ目のエポックすなわち人類のテクノロジーと知能が融合する段階から、シンギュラリティが起こるとしています。シンギュラリティとは、われわれの生物としての思考と存在が、自ら作り出したテクノロジーと融合する臨界点のことで、技術的特異点と言われていますが、その世界は、依然として人間的ではあっても生物としての基盤を超越しているのです。具体的には、ナノボットといわれる分子レベルで設計されたロボットが脳の毛細血管の中に送り込まれて、人間は知能を大幅に高めることになりますが、その脳内の機械の知能は指数関数的に増大し、やがて人間の知能のうち非生物的な知能が圧倒的に大きな部分を占めるようになるというのです。このような段階で、生物としての人間の概念はどうなるのでしょうか。このようなシンギュラリティを迎えることを2045年問題と言いますが、2045年というと、皆さんはちょうど45歳前後です。さまざまな分野の中枢で活躍していることでしょう。この時、是非皆さんには、人はどの様にあるべきか、社会はどのようにあるべきかを考え、自分の知識を知恵として、人類の発展のために良い方向に使っていくようにして、人間社会に貢献してもらいたいと思います。

それでは、卒業生の皆さん、時代を超えて先輩から後輩へと受け継がれてきた本校の精神、校訓である「遵義・力行」を胸に深く刻み込み、健康に充分気をつけ、可能性に満ちた21世紀社会で活躍されることを期待します。皆さんが、自分らしくそして膳所高校の卒業生らしく、自分の強みを活かして活躍されることを期待し、式辞といたします。

平成31年3月1日

                 滋賀県立膳所高等学校長    小島 秀樹