滋賀県立膳所高等学校

2016年10月31日

[PTA]芸術鑑賞会に参加して

2016_geijyutu01夏休み明けの9月8日にびわこホールにて芸術鑑賞会が行なわれました。生徒たちや教員の他、希望した保護者(100名)が観劇しました。

演目はドストエフスキー作「罪と罰」。名古屋にある「劇団うりんこ」によるものでした。

真っ暗な中にぽつんと「ドア」が一枚。そのドアにグッと惹きつけられ、お話は始まります。ゆっくりとドアが開きこの物語の登場人物がすべて舞台上に集まり、まるで会議でもしているかのように物語のあらすじが語られていったのです。その瞬間「ああ、しまった。こんな方法でこの大作が始まるなんて思いもよらなかった。やられた。」と感じました。このシーンでおそらく全ての観客がこれから起こるドラマを観る準備ができたのですから・・・

ここから舞台では「ドア」と左右にある階段や踊り場による高低差がうまく使われていきます。複雑なドラマと人間関係をこの立体的な空間で次々と展開させていくのです。

主人公ラスコーリニコフは休学中の貧しい大学生。「すばらしい目的があれば、一つの罪悪は許されるはず。」という独自の理論のもと、金貸しの老婆を計画的に殺害してしまいます。さらに偶然その部屋にやってきた彼女の妹も殺してしまうのです。予期せぬ二人目の殺害は彼の内面に重くのしかかり、罪に怯える自分自身との葛藤が周囲の人たちとのドラマと交錯して物語は進んでいきます。そして、殺害された2人は死人として舞台に居座るという展開によって主人公の心の葛藤を表し同時にドラマのナビゲーターとして存在するという面白い設定となっていました。

お金を持つもの、持たざるもの。貧しさのなかで、生きていくためには何が必要なのか。ナポレオンを引き合いに出し、正義とはどんなものなのかを語る彼の論理と、自己犠牲に徹して生きる娼婦の論理。拮抗する考えのせめぎ合いと、主人公を犯人と見抜きじわじわと追い詰めていく判事(ちなみにこの判事は「刑事コロンボ」のモデルとも言われています)。この人間関係をどう理解するかで、このお芝居は面白いものにも、つまらないものにもなったでしょう。最後、主人公は自首をして刑に服します。物語の中の何が「罪」で何が「罰」であるかは観客へ投げかける形で終わりました。

生徒のみなさんはどのように感じ考えたのでしょうか。

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鑑賞会終了後には演劇班の生徒15名が楽屋へ訪問し、うりんこ劇団の方々と交流会が行なわれました。「罪と罰」の印象的な場面や人間像についてディスカッションをおこない、演劇についての日頃の悩みや質問を熱心に聞いていただきました。生徒たちにとってとても有意義で充実した時間を与えていただきました。生徒たちの素直な感想、劇団員の方々の熱心なアドバイスがそれぞれの「糧」になったことと思います。

うりんこ劇団では、ドストエフスキーの大作をなんと2時間の作品としてまとめ、膨大な原作からお話をダイジェストにするのではなく、1本の完結した作品となっていました。

この秋は「罪と罰」で読書の秋を楽しんではいかがでしょうか。