滋賀県立膳所高等学校

2013年11月23日

芸術Ⅱ特別授業「御菓子」を実施しました

芸術Ⅱ特別授業『御菓子』を実施しました。        芸術科(美術)

11月13日(水)に、芸術Ⅱ授業(文系:2年1・2・3組)を対象に、京都の老舗御菓子司「末富」の山口富蔵様をお招きした特別授業『御菓子』を実施しました。                    

■講演会『御菓子の歴史』
2時間目には2年1・2・3組の全生徒(芸術Ⅱ:音楽・書道・美術選択、119人)を対象に『御菓子の歴史』というテーマで講演会を行いました。お話しは、御菓子の歴史から始まり、御菓子が文学や歴史、故事、季節などと深い関わりがあることや、昔は大変貴重だったお砂糖について、そのお砂糖を使ったり贈ることの意味、御菓子と「おもてなし」の心についてなど、多彩な内容でした。美しい御菓子の映像を交え、穏やかな口調の中に時に厳しく語られるお話しに生徒達は聞き入り、その姿から一流の職人としての使命や心意気を感じた様子でした。
 

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 ■『御菓子制作体験』(美術選択生徒のみ)bijyutu04

3時間目には2年3組、4時間目には2年1.2組の美術選択生徒が、御菓子の制作体験を行いました。2年生の美術Ⅱの授業では年間を通して、「利休と茶道~その形と心に学ぶ~」というテーマで、校外の美術館や芸術家、作家さんとの’連携授業’を行っています。今回の授業はその一環です。
まず、山口さんのお話を聞いた後、作りかたを教わりました。そして3時間目には『きんとん』、4時間目には『薯蕷饅頭』(じょうよまんじゅう)を生徒自身が作りました。
『きんとん』は、あん玉にそぼろ状の色つきの練り切りをつけて、”秋の山”を表しました。

『葛蕷饅頭』は、つくね芋をすったものに砂糖を加えて練り上げて色を付け、あん玉を覆って蒸し上げました。
山口さんや職人さんの手さばきに圧倒されながら、大変丁寧にご指導頂きました。実際に御菓子を制作することで、そこに込められた想いや伝統的な技法を知ることができ、大変貴重な経験となりました。bijyutu05

 今後は、御菓子のデザインを考えたり、授業で制作した黒楽茶碗に銘を付け合ったりする活動を経て、2月にお茶会を催すことを目標に、授業が進んでいきます。
この授業にご協力いただきました末富山口富蔵様をはじめ、MIHO MUSEUM、滋賀次世代文化芸術センターなど多くの方々にお礼申しあげます。
なお、この授業の様子はNHKのTVやFM放送のニュースで、関西や滋賀県内に報道されました。

【生徒の感想】

●講演会『御菓子の歴史』について

・今まで「和菓子」に抱いていたイメージは、「洋菓子」の対義語として、軽く考えていたが、今回の講演を聴いて、砂糖がどれだけ貴重なものであったのか、また、御菓子を使っての「もてなし」の文化など、驚くことがたくさんあった。日本では作られない砂糖は、江戸時代の頃から貴重な物でありながら、今の私は砂糖はあってあたりまえだと思っていた。むしろ、すごく甘いイメージの京菓子などは、苦手だと思ってきた。しかし、砂糖の大切さを知った今、これまでと違う目線で砂糖を見つめ、良さをさらに見つけていきたい。日本のトップレベルの京菓子について、滅多に聴けないお話しが聴けた。bijyutu06

・最近は和菓子よりもスイーツがもてはやされている中、日本伝統の御菓子の大切さと深さを感じました。特に「おもてなし」についてのお話しが印象的でした。どんな人に贈るのか、どのように用いるのか、また、合わせるお茶などにも気づかい、お客さんと一体となって、思いやりから御菓子が生まれるというのは、すごいなと思いました。また、甘さや砂糖へのこだわりも強く、ここまで考えられて作られていたのかと驚かされました。京菓子についてよりいっそう興味がわきました。日本の伝統の御菓子のルーツがよくわかって良かったです。

 ・歴史的背景や文学なども交えて、話してくださったので、とてもわかりやすく、おもしろかったです。普段、何気なく「甘さ」に触れていますが、砂糖の大半は輸入品であるということを、忘れてはならないと思いました。御菓子が生まれたのは「茶」で珍しいものをもって客をもてなすという心からだと初めて知りました。昔は、特権階級の人しか食べられなくて、御菓子の店も公家の家来として許された248軒しか許されていなかった高貴なものであると知り、御菓子に対する見方が変わりました。今までの御菓子のイメージが変わり、とても興味深かったです。bijyutu07

 ・今回の山口さんのお話しは、現在、食卓に普通にある砂糖の価値を見直して御菓子をいただいてもらいたいというものでした。砂糖が以前とても高いものだったということは知っていましたが、そのことを意識して甘いものをいただくことはなかったので、甘いものに対する価値観や思いが変化しました。和菓子が、どの色や形で季節感をかもし出すというのは、写真を見てよく理解できました。和菓子を見て、それが何を表しているかを考えることは面白く、それもひとつの美であると感じました。

 ・同じ「甘くておいしいもの」ととらえていた御菓子とスイーツは実は全く違うものだとわかりました。普段何気なく食べている和菓子には、それぞれ意味のある名前、色、形があり、「知識がなければただ甘いものでしかない。」という言葉が印象的でした。今まではただ「かわいい」とか「きれい」とか「甘くておいしい」といったようなことしか考えずに食べていましたが、これからは和菓子を食べるときは、今日の講演で新たに知ったことを思い返して、味だけではなく、ひとつの芸術品として楽しむようにしたいです。どちらかというとケーキやチョコレートといった洋菓子を食べることが多いですが、和菓子もいいなと思いました。知らなかったことをたくさん知れて、よい機会でした。

 ・講演前にもらった、山口さんの御菓子に対する思いが書かれたプリントを読んだり、今回のお話しを聞いて、御菓子というものがただ食べるだけのものではなく、季節感を感じながら食べる風流な食べものだと知り、今まで抱いていた思いを改めなければならないなと思いました。長年受け継がれbijyutu09てきた御菓子という歴史が、日本史などで習った本や文化に通じていて、とても面白かったです。御菓子を作るために万葉集や歳時記などの和歌集を読んだりしているという話しにはとても驚かされました。写真で見たような、シンプルだけど雰囲気がぱっと伝わる御菓子ができるのは、そういう普段からの積み重ねがあってこそなのだと思いました。自分の身近にある御菓子という芸術品について、いろいろと知ることができて良かったです。

 ・私はお話しを聞く前まで、講演は和菓子の形や季節感だけを教えてもらうものと考えていました。しかし、お話を聞かせて頂くと、まず、和菓子ではなく御菓子と先生方が呼ぶことや、その御菓子の中で使っている砂糖へのこだわり、また、包装のこだわりなど、予想以上に多くの場所に「おもてなし」の心をこめられていると知り、驚きました。世間では「食品偽造」についての問題が多数叫ばれていますが、このように誠実に伝統を守るお店が増えてくればなと思います。和菓子専門の方にその世界について広く話して頂いて、日本の食文化の魅力を新たに見つけることができて良かったです。

 ●『御菓子制作体験』について(美術選択生徒のみ)

・職人さんが御菓子を作る姿を目の前で見させていただくという、とても貴重な体験をしました。美しい手さばきを実際に目にし、それが何十年もの経験を積んで洗練されてきたものなのだと思うと、とても感動しました。様々なお話を聞いて得た御菓子の歴史や背景に関する知識を思いおこしつつ、自分自身の手で作った葛蕷まんじゅうは、普段食べるどのおかしよりもおいしいものでした。できあがったその姿だけ見て食べたのでは、決して味わえなかったでしょう。何事bijyutu10においても過程や歴史を知ることが大切なのだと感じ、これからもっと日本の文化についての知識を深めていきたいと思いました。 実際に目で見、耳で聞き、手で触れ、舌で味わったことによって得られるものがありました。

 ・講話の最後あたりに「ひとつひとつ手をかけて作っているから、高く売らざるを得ない」というお話がありましたが、実際に作ってみるとその話の意味がよくわかりました。機械を使わず手作業で作った御菓子を新鮮なその日のうちに提供する。今回私たちの班ではひとりあたり5個の葛蕷饅頭を作りました。下準備をしていただき、他にも手助けしてもらいましたが、それでも大変でした。勿論、プロの方と私達とでは技術が全く違いますが、多くの種類、多くの量の御菓子をひとつひとつ作るのだから、手間も労力もかかる作業です。御菓子の値段が高いのは、材料費だけでなく、作り手の努力やまごころがプラスされた結果なのだと感じました。技術的には拙い御菓子になってしまいましたが、家に持って帰ったら家族が喜んでくれました。作る人も食べbijyutu11る人も幸せになれる感じがします。また作りたいです。

 ・講師の末富さんは、「単純な作業だけれども、やっぱりこれを商品として出すのは訓練が必要です」と何度もおっしゃっていました。ささいなことでものがさず、しっかりとこなす魂がそこにはあると感じました。実際に見ていたら正直簡単そうだと思うところがありましたが、自分でやってみると大変難しくて、何気ないところでも何度もつまずきました。でも、だからこそ、御菓子作りは奥が深くて面白いのかと思いました。難しいからこそ、自分の作り上げた御菓子がきれいに、思いがこもっていたら、よりいっそううれしくて、すばらしいものだと思う。今までにない貴重な体験ができました。

 ・普段の生活で出合うお菓子は洋菓子やスナック菓子、また和菓子といってもスーパーのものぐらいなので、本物の和菓子を見ることができてとても良い体験になりました。お話しも知らないことがたくさん詰まっていて、興味を持って聞くことができました。また、御菓子の制作活動を通して、なかなか見ることのできない職人さんが御菓子を作る姿や、御菓子作りの難しさを感じました。前で山口さんが実演されているときは、案外簡単なものだと思っていましたが、自分で作ってみると難しく、山口さんが作られた御菓子をもらって自分のものの横に並べて、みると、見た目が全く違いました。やはり、美しいものは、磨かれた技でないと生まれないんだと思いました。御菓子を作るというなかなかできない体験で、何より楽しかったです。